およぐひと
2011.3.11
東日本大震災から2020年の今日、9年が経過しました。
どのくらいの時の長さかというと、この9年の間に、私自身のお話をさせていただくなら、結婚、引っ越し、出産、転職、がありました。
今日もコロナのことが当然ではありますが、報道されています。
震災の記憶が風化されないために、せめて今日だけでも、しっかり報道してほしいものです。
※注意 以下、震災時の画像あります。
(引用:amazonn)
『およぐひと』
『およぐひと』出版情報
【著者】長谷川集平/作
【初版】2013年4月20日
【出版社】解放出版社
【ページ数】32ページ
【定価】1600円(税抜き)
『およぐひと』内容紹介
カメラを持った主人公の前を、流れに逆らって、泳いでいく人たち、そしてそのまま消えていく。そんなひとをいっぱい見てきた主人公。しかし娘に伝える言葉につまる。「・・・ぼくがみたのは いえにかえるひとと とおくにくひと。ぼくらのように テレビやしんぶんにのらないひとたち。」
東日本大震災がテーマになっている絵本です。
『およぐひと』感想
タイトルだけでは、震災の絵本とは思いませんね。
息子は、6歳とは思えないくらい防災に興味が高いんです。夫が阪神淡路大震災で、被災の経験があるので、その話を聞いて育ったからだと思います。
幼稚園でも津波を想定した避難訓練をしたりしています。図書館にいっても、臆することなく震災関連の本を自分から選びます。
こちらの絵本は、わたしが絵本に詳しい知人からきいて、かりてきました。
(引用元:東日本大震災 100枚の記録 写真特集:時事ドットコム)
絵本を読んだ後の息子の反応。「これ、震災の話ではないね」うん。息子よ。その通り。この絵本には、一言も震災だと直接分かる表記はありません。
ながされるサラリーマン、赤ちゃんを抱いた女の人。それらに話かけるカメラを持った主人公。どの顔にも、影があり、表情がありません。人間のようで、人間でない。
ラストのシーンは、読みながら言葉が詰まる。つらいです。
文字数も少なく、読み聞かせもすぐ終わりますが、ゆっくり読みたい絵本です。
息子からしたら、もっとダイレクトに目に見えるかたち、例えば、上記の写真をみせても、良かったのかもしれません。絵本という形をとらなくても。ただ、あくまで、自分から真実が知りたいと強く願っいる子供の場合です。
震災の記憶のない世代の親たちが、これから、絵本だからこどもに伝えやすいことがあると思います。ただならぬ絵の雰囲気は伝わります。大人にとっても考えさせられるし、わたしも毎年読んでいきたいと思います。
『およぐひと』読むのにかかる時間
2分くらい
長谷川さんのその他の作品です。
こちら、1976年第3回創作えほん新人賞を受賞した作品。デビュー作です。
森永ヒ素ミルク中毒事件において、著者本人も粉ミルクを飲んだ経験があり、衝撃的な切り口で読む人の心を揺さぶります。
刊行した出版社が何回も倒産し、復刊です。
野球好きのかたにおすすめ。野球用語もでてきます。少し大きい中学生くらい向けかな。